SEとしてのキャリアをスタートした方に向けて、会社員およびフリーランス、法人としてSE、ITコンサルタントを経験を踏まえてSEが若手時代に身に着けておくべき仕事のポイントを5点ほどお伝えさせていただきます。
【若手時代に身に着けておくべき仕事のポイント5点】
- わかったふりをしてその場をやり過ごさない
- 担当しているタスクが必要な理由を把握する
- タスクをクローズするためにやるべきことを明確にする
- 成果物のイメージについて認識をあわせる
- タスクの期日を明確にし必ず守る
要はきちんと考えて自分から主体的に動くということが大切になってくるのですが、これは年数を重ねれば重ねる程身に着けるのが難しく、どんどん辛くなっていきます。
【この記事はこんな人にお勧め】
- これから社会人になる方
- SEとしてのキャリアに興味がある方
- SEとしてのキャリアをスタートしたばかりの方
- タスクの納期を守れずいつも怒られていて、何をしてよいかよくわからなくなっている方
1.わかったふりをしてその場をやり過ごさない
1つめの身に着けることは、「わかったふりをしない」ことです。
若手の場合、上長から何等かのタスクを依頼されて対応するケースがほとんどかと思いますが、この時にわからないのにわかったふりをしては絶対にいけません!
- こんな質問をしたら怒られないかな
- 忙しいから質問しづらいな
- できないやつだと思われたくないな
といったことを考えてわからないと言いにくいと考えてしまうかもしれません。が、その場で質問をしないとこれらの気持ちはどんどん大きくなっていきます。よって、後になればなるほど質問がしにくくなってしまいます。
そもそも、「わからない」ということは当たり前なので質問することは恥ではありません。なぜなら、あなた(タスクを依頼される側)より上長(タスクを依頼する側)の方が経験も知識も上なのです。そのギャップから、上長が今のスキルで十分だと判断している説明の中に理解できないポイントがあることは十分に起こりえることなのです。
よって、「わからないことはわからない」と正直に伝える癖をつけましょう。その時にただ漠然とわかりませんでしたというのではなく、「おっしゃっていたこのポイントが理解できませんでした」と、どこがわからなかったのかをきちんと伝えるようにしましょう。
また、その場では理解したつもりでも作業をする中でわからないポイントが出てくる可能性もあります。そんなケースを考慮して、質問する点がなくても「概要は理解できました。ただ、作業をしていく中で疑問点が出てくる可能性はあるので、その場合は都度確認させてください」といったように、必要に応じて後から質問させてくださいとお願いしておくと、後々の質問がしやすくなります。
2.担当しているタスクが必要な理由を把握する
2つめの身に着けることは、「依頼されたそのタスクが何のために必要かを必ず確認する」ことです。
例えば、ある機能のテストを依頼されたとします。その時にただ設計書通りに動いていることを確認するだけではなく、「その機能はどのような目的で作られているのか」、「その機能はユーザのどのような課題を解決しているのか」、「そのためにどのような仕様となっているのか」といった点を意識しましょう。
経験を積み、上流工程に行けば行くほど上記のような観点が必要となってきます。その時に言われたことしかやらないという癖がついている人がその時が来たら急にできるようになるということはありません。また、言われたことしかできないと新人や若手と変わらないと評価されて最悪、居場所がなくなる可能性もあります。
相手の期待値を上回ることで自分への信頼が積みあがっていきます。ただ、言われたことをするのではなく目的をきちんと把握して作業をすることで、上記の例だと設計の誤りを発見したりと+αの成果を出し周囲からの信頼が高まる可能性があるというメリットもあります。
3.タスクをクローズするためにやるべきことを明確にする
3つめの身に着けることは、「依頼されたタスクをクローズするためにやるべきことを明確にする」ことです。
例えば、あなたに「ある機能で発生している課題の対応」というタスクが割り当てられたとします。その場合、何も考えずに作業に取り掛かるべきではありません。
- 課題の内容を確認する
- 問題が起きているプログラムを確認して問題の原因を調査する
- 調査結果をもとに課題を解決するための対応方法を検討する
- 対応方法をユーザに説明し合意を取る
- プログラムを修正する
- 修正結果をユーザに説明し承認を受領する
- 課題をクローズする
といったように、課題をクローズするためにやるべきことを明確にしてから実際の作業を開始しましょう。初めのうちはこの段階で上長に漏れがないかといった内容を確認することをお勧めします。
作業を開始してから手戻りが出るということは、不必要にコスト(時間や単価)がかかっているということです。
経験を積むことで頭の中で上記をイメージできるようになってきますが、それまでは、テキストエディタやメモ用紙等、何等かの媒体にやるべきことをリスト化して順番に対応していくようにしましょう。
4.成果物のイメージについて認識をあわせる
4つめの身に着けることは、「成果物のイメージについて依頼者と認識をあわせる」ことです。
資料作成であれば「こういった資料を作ります」、テストであれば「こういったテストをします」といったように、依頼された作業に対して作成する成果物のイメージを作業前にあわせるようにしましょう。
自分がイメージしている成果物と相手がイメージしている成果物にギャップがあるということは経験を重ねたとしてもよくあります。作業が完了してからこの事実が発覚すると最悪、最初からやり直すということになります。これは、完全に時間の無駄です。
上記を防ぐためにも、成果物のイメージについて依頼者と認識をあわせる癖をつけておくようにしましょう。可能であれば、作業完了のタイミングでいきなり成果物を見せるのではなく、成果物の構成ができたタイミングでイメージをあわせておくと、手戻りがなくなり不要な作業をしなくて良くなるので、結果として、仕事ができるというイメージを持たれることになります。
5.タスクの期日を明確にし必ず守る
最後は、「タスクの期日を明確にして必ず守る」ことです。
期日を過ぎてしまうと、どんなに素晴らしい仕事をしたとしても評価されません。タスクを依頼された際は「このタスクの期日はいつですか?」と、いつまでに対応することが求められているかを必ず確認するようにしましょう。
もちろん、他のタスクがあったり、依頼者が想定している以上に難易度が高かったりと、希望納期を守ることが難しいケースも多々あります。その場合は「こういう理由でその納期での対応は難しいです。この日までに対応でも大丈夫でしょうか?」といったように、必ず、納期調整をしましょう。
こちらから提案した期日が了承されることもあれば、新しく依頼されたタスクの優先順位が高ければ、他のタスクは後回しでいいから最優先で対応してほしいと言われることもあります。重要なのは自分で勝手に判断するのではなく、必ず相手と合意を取った上で納期を明確にして必ず守るということで、これらの積み重ねが信頼につながっていきます。
また、対応の過程で納期を守るのが難しくなった場合は隠さずに必ず理由といつまでなら対応可能かを伝えて、リスケジューリングをするようにしましょう。
これらが身についていないとどうなるのか
正直、SEを10年以上やっていてもこれらができていない方もいらっしゃいます。
参画したプロジェクトでそういう方をお見掛けすることもありますが、どんな質問に対しても「やります」と返事をするものの、「何が問題なのか?」、「何をすれば課題が解決するのか?」といったことが明確になっていないようです。
結果、「納期を過ぎても何の連絡もないので信頼がなくなる」→「周りのメンバーや顧客からの風当たりが強くなる」→「上長やマネージャからいつも怒られて精神的にきつくなる」といった負のループを繰り返しているように見えます。
そういう方は、周りからこうした方が良いといった話をしても行動が変わらないことが多いようです。
失敗しても許されるというのは若手社員の特権です。経験年数が多くなればなるほどプライドも高くなり行動を変えていくことは難しくなっていきますから、上記5つのポイントを意識して、若手のうちからきちんと考えて自分から主体的に動く癖をつけていきましょう。
この記事が皆さまのキャリアを築く上で参考になれば嬉しいです。